子どもと一緒にいるのが辛い時期に、ちょっと救われた話

ちいさな大きなたからもの

ちょうど半年くらい前のはなしです。

息子はもうすぐ1歳になるというのに睡眠が下手で、毎晩5~8回くらい目覚めては大泣きしていました。一緒に遊んでとねだる娘の相手は十分にできず、家事も仕事も思い通りにいかず。

こんな辛い日々はそのうち終わる、いつかこんな日々を懐かしく思い出すときがくると頭ではわかっていたけど、気力と体力を削られ続ける毎日をいったんすべてリセットしたい、もうお母さんであることを放棄したいという気持ちが頭のどこかでちらついていました

 

そんなときに、『ちいさな大きなたからもの 』という本を読みました。元宝塚の瀬奈じゅんさん夫妻が、不妊治療から特別養子縁組で子どもを迎えるまでのノンフィクションエッセイです。

私は舞台観劇をよくしていた時期があり、「瀬奈さん=スター⭐︎」というイメージがありました。
ほとんど生活感を感じさせない瀬奈さんが不妊治療をしていたということがまず衝撃で、正直、好奇心のようなものもあってこの書籍を手に取りました。

なんとなく「一般人とは別」というイメージのある舞台俳優。おそるおそる、という感じで読み始めました。

ここでは詳しい内容は書きませんが、夫婦それぞれのリアルな気持ちの変化、赤ちゃんを迎えたい、育てたいという気持ちがとても優しく誠実な語り口で綴られています。

 

気づき

目の前に自分の子どもがいて、笑っているっていうだけで幸せだ。
そんな、当たり前なことに気づかされました。

料理、掃除、しつけ、教育。「あれもしなきゃ、これもさせなきゃ。でも全然できてない」って、ずっと自分を責めていました。
あれもこれもは理想ではあるけれど、でも、そんなことをしなくても、自分の子どもがいて、笑っているっていうだけで幸せ。自分の子どもを抱きしめられるだけで幸せ。

どうやら私は、目の前の幸せに気づかずに、あれもこれも欲張っていたようです。

いろいろリセットしたい、お母さんであることを放棄したいと思ってしまっていたけれど、その前に「やらなければとおもっていたあれこれ」を減らすほうがいいんじゃない?って気づけました。

 

本のはなしに戻りますが、
仕事を辞めてから、妊娠してから、お母さんになってから。なるまでわからなかったこの立場特有の辛さを感じることがありました。

この本を読んで、不妊治療をしている人の気持ちの変化を少し、知ることができました。もちろん、ほんの一部分だけれど。

小説とか、道徳の教科書とか、人の気持ちを想像する手段はいろいろあるけれど、自分がまた教員をやるとしたら、教室にさりげなくこの本を置いておきたいと思いました。大人になって、子どもをもつ前にこの本を知っていたらもっとすばらしかっただろうと思ったから。

 

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